第2回 発展途上国の農業開発と保健医療 発展途上国の農業開発 | 世界保健事情―地球規模で考えたいわたしたちの健康 | 宍戸竜司 | コラム |

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第2回 発展途上国の農業開発と保健医療 発展途上国の農業開発

 さて、農業の生産量を増やすには二通りしかない。一つは生産する農地を拡大することであり、もう一つは生産性、要するに面積当たりの生産量を増やすことである。アフリカの土地は広大であり農業にはいくらでも使えるような気もするが、そもそもほとんどのアフリカ農村の農民は手作業やウシなどの畜力に頼った小規模農業であり、このような状態では農民一人当たりで耕すことのできる面積にも限度がある。ならばアフリカの強力な炎天の下、家族総出で朝から晩までクワを持ち一心不乱に耕作すれば農地を拡大できるが(相当難しいだろう)、それができない場合には機械を導入することが有効である。しかし高価な農業機械を買えない農民はどうすればよいのか。それは現在ある農地にさらに手を加え有効活用することにより生産性を上げることである。イネはアフリカにとっては歴史的に新しい作物であるが、東南部アフリカ農村での栽培方法としては起伏のある土地を簡単に耕し、モミ(コメの種)を節分の豆まきのようにばら播き、後は降雨を待つという、手間をなるだけかけずに行う稲作が広く行われている。しかし同じ田んぼでも整地し、モミを線上に蒔きさらに覆土し、除草をする手間を加え丁寧に収穫するだけでも、ばら播き栽培の二倍ほどの収量がもたらされるのである。[1]

 非常に端折った説明ではあるが、アフリカの農村開発が必要な理由は、このように国レベルの視点では多くの人々が農業に携わって生きているにもかかわらずその生産性は非常に低く、また生産量そのものも低いことから、貴重な外貨を使い食糧となる穀物を輸入しなくてはならないことであり、また農民の視点では農業を行う労力には限度があり、さらにその技術が未熟であるため生産性が低いことである。さらに現在注目されているのは、農民はどのような状態になれば"やる気"がでるか、を考えることが農村の発展や開発に結びつくのではないかと考えられている。


[1]アフリカで無肥料ばら播き栽培でのコメ収量はモミで700-2,000kg/haほどで非常に低い。日本での収量はモミ重量でおおよそ7,000-9,000kg/ha位であるが生産量よりもむしろ食味が重要視されていることにも注意。(モミの約25-30%はモミがら重量)

※画像をクリックすると拡大表示されます。

≪参考文献、第1回から第3回まで>>
高橋基樹 [2010] 「アフリカ貧困・開発論」、舩田クラーセンさやか編『アフリカ学入門 ポップカルチャーから政治経済まで』 p95-120
竹田美文ら編 [1996]『新熱帯感染症学』 南山堂 p3-7, p15-21
平野克己 [2002] 『図説アフリカ経済』日本評論社 p2-57

文責/宍戸 竜司



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