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第3回
「手抜き介護のススメ」

臨場型介護からの脱出

 自分の親を介護するなら、一生懸命にやらねばならないと、だれでも思うだろう。
 私の外来診療にいつも付き添ってきている家族の方も、認知症の親の変化を毎回、新しい発見のように語ってくれる。
 「もの忘れがひどいんです。何度も同じことを忘れるんです。私の顔さえ最近は覚えていてくれません。食器を洗ってくれるのはいいのですが、それをまた並べて、朝食を食べていないって言うんです」 
 介護して4年経過している。認知症の患者さんがどんな変化をして、どういう症状なのか、十分にわかっているはずなのだが、診察室では、それを新しい発見のように語って行く。
 しかし、それは親に対する子供の愛情なのだろうし、いかに真剣に観察し、一生懸命に介護しているかという結果なのだろう。
 息子が介護している場合は、意外にあっさりとしていて、「変わりないですね」としか言わない。
 実際には、徘徊があったり、暴力的になったりしているのかもしれないが、1ヶ月間というスパンでみれば「まあ、同じですね」ということになる。
 ある意味それは正しい介護のあり方だ。
 認知症の介護で重要なことは、臨場型介護にならないことだろう。
 つまり、自分も親の認知症の症状の混乱の中に参加してしまわないことだ。
 「自分の物をなんでもしまい込んで、なくなったというので、本当に困ってしまうんです。何度注意してもわからないんですから」 
 こういう言い方をする介護者は、まだ認知症が理解できていないと思うかもしれないが、7年近く介護している人なのだ。



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プロフィール

米山公啓(よねやま・きみひろ)
1952年5月10日山梨県甲府市生まれ。作家、医師。医学ミステリー、エッセイ、医療実用書など年間10冊以上のペースで書き続け、現在までに200冊以上を上梓。
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「手抜き介護のススメ」

第2回
脳がいちばん元気になる場所

第1回
ゆっくりな町




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