帚木蓬生著『安楽病棟』を読みました。
本書のなかに、「老年看護学」について、当時大学生だった城野(主人公の看護師)に講義をする50歳代の教師の話が出てきます。
「看という字は手と目から成り立っています」と話す先生は、認知症病棟のスライドを100枚以上も持ってきて、高齢者の暮らしぶりと看護師の働きぶりを余すところなくみせていきます。
スライドに写っていたのは、食事、入浴、歯磨き、身体の運動、おむつ替え、排尿誘導、散歩、そして雛祭りの行事など、人間の生活の隅々まで「よくもこんな風に援助できるものだ」と主人公が感心するほどの「目と手で護る」看護師の姿でした。
この作品には、高齢者の姿が縷々描かれていますが、何よりも看護師の姿勢がすばらしい。
ぜひ、皆さまにもお勧めしたい一冊です。